熟年離婚の増加に伴い、これまでには生じなかった新たな問題が生じています。
ある程度年齢を重ねた夫婦の場合、多額の資産を相続している場合があります。その資金を巡って争いが発生してきています。
婚姻中に増加した夫婦の共有財産を、離婚時に2分の1ずつに分ける事を「財産分与」と言います。
詳細:「 財産分与 」
夫婦の協力、支え合いがあったからこそ、築く事ができた財産ですから、2分の1ずつとなるわけです。
では、相続によって取得した財産に関してはどうでしょうか?
それに関しては、夫婦の二人三脚で獲得した財産であるとは言えないでしょう。
どちらか一方の「特有財産」と見なされます。
したがって、原則としては、財産分与の対象からは外れます。
ただし、例外があります。特有財産の取得や減少を防ぐために、もう一方も貢献や協力をしたと認められる場合です。その寄与の大きさによって、特有財産であっても一定割合の分与が認められるケースがあります。
夫婦は、収入の多い方が、収入の少ない方に対して生活費、法律用語で言う所の「婚姻費用」を負担する義務があります。
詳細:「 婚姻費用 」
婚姻費用をいくらにするかについては、裁判所の算定表で概算できるようになっています。
では、もし夫婦のどちらかが、不動産を相続していて賃料収入があるとするとどうでしょうか。
賃料収入も含めた収入が、婚姻費用算定に反映されるのでしょうか。
昭和42年5月23日の判例によりますと、妻が毎月3万円の賃料収入を得ていたケースについて
「妻の特有財産の収入が原則として分担額決定の資料とすべきではないという理由または慣行はない。申立人の特有財産である前記共同住宅の賃料収入を考慮して婚姻費用の分担額を決定することは当然のことである。」
と判示しました。つまり、妻の賃料収入も含めて婚姻費用算定の基礎としたのです。
特有財産なのだから、賃料収入に関しては含めるべきでないとした決定もあります。しかし最近では、特定財産からの収入でも、少なくとも部分的には算定の基礎とするという考え方が有力となっています。
(1)と(2)を比べると、どうも特有財産の扱いに差があるように思えますね。
この差はなぜかというと、おそらくですが、
なので性格の違う問題であると考えられているからなのでしょう。
しかし夫婦の実情というのはケースバイケースであります。「内助の功」というように、ご自身を犠牲にしても夫婦の財産を築いてきたという自負がおありのかたもいらっしゃるかと思います。個々の事情が加味して判断されるように、お客様の利益にとって最善となるように、私たちが協力します。ぜひ一度、ご相談にいらしてください。