公務員の夫との熟年離婚

1. はじめに

公務員の夫と熟年離婚する場合には、通常の離婚問題の中でも、財産分与の問題について特に注意しましょう

なぜなら、公務員は他の職種と比較して安定かつ継続して高額の収入を得ることができる職種であるため、長期の婚姻期間中に形成される財産が多種多額に及ぶケースがあるからです。

また、財産分与における退職金の扱いについても注意が必要です。

公務員の夫との熟年離婚については、いくつか一般の熟年離婚の場合とは別に注意すべきところがあります

今回は公務員の夫との熟年離婚における特に注意すべき点について解説します。

2. 自宅不動産は評価額により財産分与における扱いは異なる!

公務員は安定かつ継続して高収入を得ることができ、定年退職時には高額の退職金をもらえるため、比較的安心して住宅ローンを利用できます。

そのため、公務員の夫と熟年離婚する際の財産分与では自宅不動産の扱いが問題になることが多くなります。

このとき、ポイントになるのは、自宅不動産の評価額と住宅ローンの残額です。

自宅不動産の評価額≦住宅ローンの残額の場合には、自宅不動産には、価値がないため、財産分与の対象になりません。

他方、自宅不動産の評価額>住宅ローンの残額の場合には、その差額について自宅不動産は価値を持ちますから、財産分与の対象になります。

たとえば、1200万円の自宅不動産について住宅ローンの残額800万円の場合は1200万円-800万円=400万円を財産分与の対象として、離婚後、自宅不動産を所有し続ける夫は、妻に400万円を分与することになります。

3. 公務員の夫の退職金は財産分与の対象になる可能性あり!

次に、公務員の夫の退職金と財産分与の問題について解説します。

財産分与とは、婚姻中の夫婦の協力により形成された財産の清算を目的とする制度です。

退職金は、給料の後払い的性格を持つ金銭であるとされ、財産分与の対象になりうる財産として扱われます。

但し、民間の会社の場合には、早期リストラ、倒産など退職金の支給されない、支給された場合でも少額になる可能性は否定できないため、財産分与において退職金を考慮しないことはあり得ます。

他方、公務員の場合には、早期リストラ、倒産のリスクは極めて少なく、定年退職時に高額の退職金を支給される可能性は高いです。

3-1. どのようなケースでは退職金は財産分与の対象になるの?

一般論としては、近い将来、退職金を受領する可能性の高い場合には、退職金は財産分与の対象になります。

その判断は、定年退職までの期間(目安は凡そ10年)、職種、勤務先の規模・経営状況等、退職金規程の有無などを考慮します。

公務員の場合には、リストラの心配が少なく、私企業のような経営リスクがあまりなく、退職金規程は存在しますから、定年退職まで比較的期間のある場合でも、退職金を財産分与に含めるべきとの判断になる傾向にあります。

3-2. 財産分与の対象になる退職金の金額を算定する基準時は?

退職金を財産分与の対象にする場合には、その金額について、①離婚時において自己都合退職した場合に支給される額②将来定年退職した場合に支給される額の2パターンに分かれます。

定年退職までの期間が短い場合には、将来の定年退職時に支給される退職金の額を基準とする場合が多く、定年退職までの期間が長い場合には、離婚時に自己都合退職した場合の退職金の額を基準にする場合が多いです。

もっとも、どちらの計算方法がとられるかについては、判断基準が明確にあるわけではなく、具体的事案に応じて判断されます。

3-3. 退職金を財産分与の対象とした場合の支払いの時期は?

退職金を財産分与の対象とした場合の支払時期については、他の財産分与に関する給付とは別に将来退職金の支給された時とされることが比較的多いです。

特に、公務員の場合には、退職金の額は高額になるため、離婚時に退職金を手にしていないのに将来支給されるであろう退職金を基礎として、離婚時に財産分与としての給付を強いることは、金銭的負担として酷だからです。

逆にいえば、離婚時において、夫の支払能力に問題がない場合には、離婚時の支払いが認めれられるケースもあります。