DVとは英語の「Domestic violence」の略語です。
日本語では「ドメスティックバイオレンス」といいます。
DVは、一般的に配偶者や恋人などの親密な関係にある(あった)者からの暴力をいい、特に女性からの離婚原因の上位に挙げられます。
それでは、長年連れ添った夫のDVを理由に熟年離婚する場合には、一体どのような方法により離婚できるのでしょうか。
今回は、DV夫との熟年離婚について解説します。
先ほど、DVは配偶者からの暴力であると説明しました。
ところで、暴力という言葉は多義的であり、一見、殴る、蹴るなどの行為だけを意味するように思えますが、実はそうではありません。
DVは、①肉体的暴力(殴る、蹴るなど)、②精神的暴力(罵詈雑言、侮辱、無視など)、③経済的暴力(生活費を渡さないなど)に大別されます。
婚姻生活において、夫の上記のようなDV行為に悩んでいる場合には、適宜、公的機関等に相談するなどして、離婚を視野に入れるようにしましょう。
DVを理由に離婚する場合には、合意による離婚と裁判による離婚の2つの方法があります。
合意による離婚は、家庭内あるいは裁判所(調停)において離婚について話し合いをして夫婦双方の合意により離婚するものです。
しかし、DV夫の中には身勝手な理由から自分の暴力を正当化する者も少なくありません。
その場合には、合意による離婚は難しいため、裁判による離婚を考えることになります。
では、DVを理由に裁判離婚することはできるのでしょうか。
そもそも、裁判離婚は民法の定めている離婚事由の存在を必要とします。
離婚事由として有名なのは不貞行為です。
他方、民法は、直接DVを離婚事由としては定めていません。
しかし、離婚事由は「婚姻を継続し難い重大な事由」であり、不貞は1つの例示であると考えられています。
ですから、DVでも婚姻を継続し難い重大な事由に当たれば、離婚事由になるのです。
DVの中でも殴る、蹴るなどの肉体的暴力は暴力の中では最も直接的かつ悪質であるため、最も離婚事由として認められやすいでしょう。
他方、精神的暴力は、夫婦喧嘩での言い合いの中での暴言に過ぎない場合もあり、また、肉体的暴力と比べて、証拠を残しにくいため、離婚事由として認められないことも少なくありません。
もっとも、精神的暴力も悪質性が高い場合には、離婚事由になります。
最後に経済的暴力については、その内容により離婚事由になり得ます。
たとえば、夫が、専業主婦である妻に生活費を渡さないようなケースでは、経済的暴力であると同時に夫婦間の扶養義務に違反しているといえますから、婚姻を継続し難い重大な事由に当たるでしょう。
一般に、離婚の原因について主として責任のある者は、離婚慰謝料の支払義務を負います。
このことは、もちろんDVを理由とする離婚の場合でも妥当します。
そこで、DV夫と離婚する際には、忘れずに離婚慰謝料を請求するようにしましょう。
離婚慰謝料の相場は、100万円~300万円と言われています。
但し、DVにより負傷した場合や後遺症の残った場合には、ケガの治療期間や後遺症の内容により、通常の離婚慰謝料より遥かに高額の慰謝料を請求できる場合もあります。
DV=Domestic violence=ドメスティックバイオレンスは、配偶者による暴力を意味します。
DVには、主として、①肉体的暴力、②精神的暴力、③経済的暴力の3種類あります。
DVを理由として離婚する方法は①合意による離婚(協議離婚・調停離婚)と②裁判離婚の2つです。
裁判離婚は、民法上の離婚事由を必要とします。
特に肉体的暴力は、離婚事由として認められやすいでしょう。
他方、精神的暴力や経済的暴力は、内容次第では離婚事由には当たらないとされる可能性があります。
DVを理由に離婚する場合には、離婚慰謝料を請求することができますから、忘れないようにしましょう。